沼メモ

FF14(槍鯖)、その他ゲームやらなんやらの話題を書きたい。

読書感想文 「会計の世界史」

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私は新しいことを勉強する過程で「どうしてその考え方が出てきたのか」とか「何に使うために発明されたのか」とかがかなり気になってしまう。というかそういうことがあいまいなままだと知識がうまく頭に入ってこない。

ぱっと見で単純に面白そうだったので読んでみたが、「会計・簿記」を学習するなら読んどくと勉強が楽しくなりそうな本だと感じた。

本書は15世紀イタリアから21世紀アメリカと広がっていった会計が、どのような変遷をたどって今日の形になっていったのかを解説した本となる。3部に分かれており、原始的な会計から、「他人へ説明するための」財務会計、「自社の経営状況を改善するための」管理関係が生まれてきた歴史をたどっていく。面白いのはそれぞれの時代に代表されるような画家・音楽家・実業家を導入に使い、物語の中でその時代背景を解説しているところ。

例えば15世紀イタリアの章ではレオナルド・ダ・ヴィンチやコジモ・メディチが登場し、貿易・銀行業の発達により簿記技術が整理され広まったことが解説される。私j自身は、世界史は高校1年以来ほとんどやっていなかったが、そういやアサシンクリード2か3にメディチという名前を聞いたような気がするなー。

その後もイギリスの鉄道事業によって、減価償却の概念が発生し、収支よりも利益の計算が重視されるようになったこと。アメリカの鉄道事業によって、効率的に事業を行うための管理会計が発達したことなど、それぞれの時代背景や事業化のエピソードと会計技術の発展が関連付けられて説明されており、どのような経緯で会計が発展してきたかがわかりやすい。

「まおゆう」の影響で会計や簿記には以前から興味があったのだが、さて実際にどういうものか勉強してみると、やれ借方・貸方だのBS/PLだのキャッシュフローだの?????となっていた。いやまあ、一通りの説明だけならネット検索すればそれなりに説明されたものはあるのだが、その元ネタ・起源から解説しているようなものはあまりなかったように思う。大抵は「借方はこれを書いて、貸方はこれを書いて…」とか「これがBS、これがPL、売上あったらこうなって…」とかの説明が出てきて、「分かるが解らん」といった状態になっていた。

本書を見た後にそういった説明を改めて見てみると、ああ、そういうことかと解った(ような気がする)。マジで気がするだけかもしれないが。

あと個人的に面白いと思ったのが、ジョセフ・パトリック・ケネディ(通称ジョー)の逸話。寡聞にしてジョーのことは全く知らなかったが、インサイダー取引で大儲けしたり(当時は規制されていなかったらしい)、禁酒法時代に酒の密売をやったりと悪名高かったようだが、後にルーズベルト大統領時代に証券取引委員会の長官を務めた。ルーズベルトが言ったという「泥棒を捕まえるには、泥棒が一番なんだ」の言葉通り、とても上手く長官の役目を務めたらしい。

こういう大悪党がその能力で成り上がり、表舞台で活躍するというのは何とも面白い。

図解も多くて読みやすく、会計の基礎の基礎としてはいい本じゃないかと思った。