先日、三重県四日市市でフラメンコのクルシージョ(短期レッスン)があったので参加してみた話。
もともと、フラメンコギタリストの池川先生の動画を見ている中で、クルシージョの告知があったので、そこから参加した。
フラメンコは、ギタリスト、歌い手(カンテ)、踊り手(バイレ)の3つの役割で成り立っている。通常、それぞれレッスンは別々に行われ、それぞれがどんな風に感じているかを知る機会はあまりない(らしい)。そこで、今回のクルシージョではできるだけ題材を単純にして、3つの役割を全部習って、併せてみようという企画だった。
先生自身で言っていたが、普通に無茶ぶりな内容である。
前半で飯塚 真紀先生によるコンパス(フラメンコで用いられるリズムパターン)のレッスンがあった。
以下言われていたことのメモ
・1,2,3,4の表拍以上に、裏拍のノリを感じるのを重視してほしい。裏拍を叩くんじゃなくて、ノリを感じる。表拍が地面を向くようなイメージなら、裏拍は空中にあげるイメージ。タンタンタンタンよりも、タッン~タッン~タッン~タッン~みたいな。表拍が必ずしもいらないわけじゃなくて、今回の内容だと裏拍のノリを重視したほうがいい。
・リズムはコンパスの名の通り円が回っている意識で感じる。また、1週目の円と2週目の円は異なっていることをイメージする。円をぐるっと描いたら、その円が移動しながらまたぐるっと回る感じ。
・参加者全員で同じコンパスを感じる。コンパスがオールで全員で同じようにオールを漕いで船をまっすぐ進めていくイメージ。
・1つの歌の中でエネルギーを溜めて溜めて、最後に出し切ることをイメージする。
以上を踏まえて、コンパスの練習で「ぞうさん」の歌が使われてたのが面白かった。おーはなが長いのねってやつね。
コンパス自体はフラメンコをかじると必ず目にする概念だけど、今回みたいなイメージで語られることは少ないように感じたからとても新鮮で勉強になった。
後半は池川寿一先生のギター、歌、踊りの三位一体レッスンが行われた。
最終的に、数人ずつでそれぞれ役割をすべて行い、数時間のレッスンで全部を合わせることになった。もちろんそんな超立派なフラメンコにならないが、皆で1つの音楽を合わせて作っていくのはとても楽しかった。
踊りだけやギターだけなら普通にお金をもらってるレベルの人もいたが、全部の役割ができる人はいなくて、誰かしらどれかの役割が初心者になるから、そういう意味でも気楽にやれて気持ちよかった。
今回の企画の意図について、池川先生が言っていたことも印象的だった。
本来、フラメンコというとギター10年、歌10年、踊り10年やってやっとスタートラインみたいに言われていたらしい。でも実際にスペインに行ったら、「そっちギターやるなら歌やるわ」とか「踊りやるからギターよろ」みたいに、1人がそれぞれちょっとずつできて、カジュアルにフラメンコやってるみたいなことがよくあったという。
そんなわけで、全員がそれぞれの役割をある程度知っていれば、他の役割の難しいところや気になるところが分かるだろうし、カジュアルにフラメンコを広めていくこともできそうということで、今回の企画を軸に全国へ広めていきたいとのことだった。
この辺の話はFF14のジョブシステムを連想していた。タンク、ヒーラー、DPSそれぞれ極めようと思うととても難しくなるが、カジュアルに楽しむのであれば、全部を少しずつできる方が、様々な状況に対応できて便利だし、他の役割を知る機会になるから、それと同じようなものかもね。
あと、ギター始めて9か月位になると思うけど、それでも初めてギターを触る人に教えられる位にはなっていて、ちょっと自分の成長を感じていた。やっぱりこうね、「これってどうやるの」って頼られるとうれしいものね。
クルシージョが終わった後は、近くのカラオケ屋でお菓子をつまみながら、懇親会に参加した。こういった愛好会の場をペーニャと言うらしい。
普段の私なら、こういった懇親会の場というのはあんまり話が出来ずに不完全燃焼で終わることも多いのだが、この会は本当に楽しかった。
歌と踊りができる人は結構バリバリ踊ってて、自分たちみたいにあまりできない人は手拍子をして参加していた。レッスンで手拍子やったり踊りやったりしたこともあって、正確な手拍子のやり方を知らなくても、コンパスに合わせて各々自由に手拍子しているのがとても楽しい。歌も踊りもギターも分からなくても、何となくリズムを合わせて、一緒に参加できるところにフラメンコの魅力を感じた。
ギター歴近い人とも知り合えたし、本当に行ってよかった。
フラメンコギターを持ちながら、フラメンコをちゃんと見たこともやったこともなかったんだけど、この一日で楽しさを知れたように思う。
今のところは、自分が好きな音楽を練習してるけど、そっちの方がひと段落したら本格的にフラメンコを習ってみたいと思った日だった。