生成AIを使って美術館めぐったら結構楽しめることが分かったので、その記録。
今まで美術館というものにあまり興味をそそられない人生だった。
だまし絵みたいな、パッと見てお~面白い~と思うような展覧会があれば見に行くこともあったが、そうではない普通の美術品を見に行くようなことは、記憶の限り祖母に連れられて行ったことがあるくらいじゃないだろうか。
人の絵を見て面白いと感じる感性がなかった。
そんな感じだったから、先日行ったフランス旅行のオルセー美術館・ルーブル美術館も、とりあえず有名だから行くくらいのつもりで、楽しめるかどうかはかなり不安だった。
結果としてはめちゃめちゃ楽しめた。
単純に自分のレベルでも何らかの機会に見たことがある有名作品が多かったっていうのもあるが、個人的なハイライトが生成AIに作品の解説をさせたことだった。
きっかけはふとした思い付きで、「生成AIに絵画を読み込ませたら、正しく判定できるのか?」と考えたことだった。
そこで、目の前の絵画だけを写真で撮って(キャプションは入れなかった)、生成AIに読み込ませ、一般的な解説をしてとだけ指示してみる。作品はカミーユ・ピサロの「緑のスカーフの女」。
AIは最初、作者と制作年だけを提示してきたが、さらに質問を重ねると、はたしてAIは正確に作品名を言い当ててきた。そのほか、作品の特徴(細かな筆使い・色使い)なども大体正しいだろう情報を話しており、結構使えると思えるレベルだった。もちろん自分自身は色彩の知識がないので、「美術的に正しい」解説かは分からないのだが、それでも「それっぽい」解説がされるだけでも十分面白い。
その後も、「なんか気になるけど面白さが分からん」みたいな作品を撮って解説させるようにすると、「ここが面白い!」とか「こんな背景がある!」などを解説してくれて、それを読んだうえで作品を見てみるとめちゃくちゃ面白いのである。こういう個人的な「なぜ?」をぶつけられる相手がいるというのはとてもいいなと思った。
絵の一般的な解説はキャプションやネット検索でも出てくるんだが、大体はもう美術の知識がある人向けの解説としか思えないようなもので、見ても「ふーん…」としかならないものだ。色々なサイトとか書籍を巡れば、自分でもわかる解説があるのかもしれないが、そんなことを絵の前で延々するわけにもいかない。
対して、絵を見て「なぜ?」を問える生成AIは自分が知りたい内容について、かなりそれっぽい回答をしてくれるから「そうなんだ!」となりやすい。それに解説が正しいかは生成AIが出した解説のキーワードを検索すると割とすぐに真偽も確かめられる。
なお、作品の読み取り精度については、絵だけの読み込みだと5,6回に1回は全く違う作品の話をしだすところがあった。キャプションを入れれば間違いはなくなったので、キャプションも読み込ませるのがおすすめ。
生成AIを使った解説で特に面白かったのを2つ抜粋してみたい。
ダヴィンチの絵の遍歴と弟子世代の絵について
レオナルド・ダ・ヴィンチ『洗礼者聖ヨハネ』

レオナルド・ダ・ヴィンチ『美しきフェロニエール』

ベルナルディーノ・ルイニ『眠る幼子イエス』

ダヴィンチの絵画については、モナリザくらいしか知らなかったのだが、ルーブルにはそれ以外の作品も数点展示されている。
特に洗礼者聖ヨハネの絵は、暗いところから浮かび上がってくるような雰囲気があり、目に留まった。AIに解説させてみると、スフマート技法というのが使われており、輪郭線を極限までぼやかして浮かび上がるような絵になっているとのこと。
そのあと美しきフェロニエールを見たが、先ほどの聖ヨハネとはまた少し雰囲気が異なり、輪郭が結構ぱっきりしている印象を受けた。その点を質問してみると、AIからは聖ヨハネがスフマートを極めた晩年の作品に対して、フェロニエールはその前の過渡期の作品であること、また光と影の明暗の対比を強調したかったからとの話だった。
これが正しいかは分からないが、確かにそれっぽい解説でおもしろ~と感じた。
また、その後の眠る幼子イエスを見たときに、雰囲気がダヴィンチに似ていたので、関係あるのか聞いてみたら、作者のルイニがダヴィンチの弟子にあたるらしく、師匠から弟子へ技術が伝わっているんだな~としみじみとした。
パオロとティツィアーノが描いた同じお題の絵
パオロ・ヴェロネーゼ『エマオの晩餐』

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『エマオの巡礼者』または『エマオの晩餐』

上記の2枚は、聖書にあるエマオの晩餐と呼ばれるエピソードを題材にした、パオロとティツィアーノの絵画。この2枚は同じ壁に少し離れて飾られており、似たような場面になってんな~と思って聞いてみたら、どうやらパオロとティツィアーノが同じヴェネツィア派という流れの中の後輩と先輩的な関係になり、2人とも同じ場面を題材にして書いたようだった。
聖書の記述的に忠実なのはティツィアーノの素朴な絵の方らしい。対してパオロの絵は発注者の貴族一家を絵の中に登場させ(絵の右側の人々)、色々豪華にして自分たちの信仰の深さを示したとのこと。師弟が同じ題材で雰囲気の異なる作品を作ったのが面白くて行ったり来たりして見比べていた。
ここ好き pic.twitter.com/VovRrdVO6a
— Numa@槍鯖 (@numa_souya) 2026年6月17日
こんな感じで、AIと遊びながら美術館巡りしていると、めちゃめちゃ楽しくて、ルーブルは結局5時間くらいいたけど、1/4も回れなかったように思う。こんなん、1日中いたって全然時間足らんわ。またフランス行くときあったら、また行ってみたい。
また、このめぐり方が日本でも通用するのか、愛知県美術館にも最近行ってみた。
結果は上々。やっぱり色々楽しくて半日くらいずっと美術館に入り浸ってた。
美術に興味ない人でも、AIを使って面白く美術館を回れる可能性があると感じられた経験だった。おすすめです。
